産業シリーズ2011年10月28日 09:10
SPring-8に寄せられる質問で相変わらず多いのは、「SPring-8の成果は私達の生活にどう役立っているの??」という質問。今回は、SPring-8を活用して皆さんの近くに生まれた製品を紹介しようと思います。 |
『身近なSPring-8 ② ~江崎グリコ(株)・ポスカ編~』
ぼくたち、SPring-8を使った実験を通して生まれたガム、『POs-Ca(ポスカ)』!
虫歯になりかけの歯*1)に作用して、丈夫で健康な歯を保つように働く成分が入っているんだ。特定保健用食品(トクホ)として、ちゃんと効果も認められているよ。
“POs-Ca(ポスカ)”って、“リン酸化オリゴ糖カルシウム”っていう成分の名前だよね。
『POs-Ca(ポスカ)』を噛むと口の中のカルシウムイオンの量が増えるんだよね。それと、口の中を虫歯になり難い環境にするから、虫歯になりかけの歯*1)を治しちゃうんでしょ?どうしてSPring-8に関係があるの?
ぼくたちは、SPring-8で実験をしたからこそ、ちゃんと“虫歯になりかけの歯*1)をそのミクロな結晶構造から健康な歯に保つ”って言えるんだよ。特定保健用食品として認めてもらえたのもSPring-8のおかげなのさ!
一体どういうこと?どんな実験をしたの?さっぱりわからないよ。
SPring-8で実験をするまでは、ポスカを噛んで確かに唾液の中にカルシウムイオンが増えることも、虫歯になりにくいとされる環境(pH値)になることはわかっても、歯の表面で実際に何が起こっているのかを誰も見ることができなかったから、ポスカが理由で虫歯になりかけの歯*1)が治ったのかは、はっきり言えなかったんだ。
SPring-8では、こんな実験がされたよ。
つまり、実験後には、最初、虫歯になりかけていた歯*1)の表面が、健康な状態に戻っていることが見えたんだ。しかも、‘見かけ’だけではなくて、健康な歯と同じ構造に戻っていることまで確認できたんだ。虫歯になりかけの歯*1)は、歯の表面からほんの200マイクロメートル*2)程度の領域で起こる、目に見えない変化だからね。SPring-8のX線だからこそはっきりと捉えることができた、とても小さな世界の実験結果なんだ。
そうか~っ!
SPring-8があったから、健康な歯をとりもどすガム『特定保健用食品・POs-Ca(ポスカ)』として、皆さんに紹介されるようになったんだね!
*1)歯の表面に実質欠損の無い初期むし歯を指します。 *2)1マイクロメートルは、1/1000ミリメートルです。 |
産業シリーズ2011年10月28日 09:10